不動産取得税は、土地や家を買ったとき・建てたとき・もらったときに一度だけかかる都道府県の税金です。引き渡しから数か月たってから納税通知書が届くことが多く、「忘れたころに来る税金」と言われます。
税額の式は「不動産の価格(固定資産税評価額)× 税率」とシンプルですが、自分で住む家なら軽減措置で大きく減ることがあり、条件に当てはまるかどうかで金額が何倍も変わります。この記事では、東京都主税局の公式の案内とQ&A(根拠の地方税法の条文つき)で確かめた内容をもとに、計算方法・軽減措置・いつ払うかを順に整理しました。2026年4月1日からの免税点と床面積の要件の改正も反映しています。
不動産取得税とは?(かかる場合・かからない場合)
東京都主税局の案内では、不動産取得税は「土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したとき」に、取得した人にかかる税金とされています。有償か無償か、登記をしたかどうかは問いません(地方税法第73条の2)。
| 取得のしかた | 不動産取得税 |
|---|---|
| 売買(新築マンション・中古マンション・建売住宅・土地) | かかる |
| 家の新築・増築・改築 | かかる |
| 贈与(夫婦間の居住用不動産の贈与の特例・相続時精算課税を使った場合も含む) | かかる |
| 相続 | かからない(非課税) |
| 遺贈(包括遺贈・相続人への特定遺贈) | かからない(相続人以外への特定遺贈はかかる) |
注意したいのは贈与です。贈与税の特例を使って贈与税がかからなかった場合でも、不動産取得税は別にかかります(東京都主税局Q&A Q2・Q3)。また、生前贈与や代償分割は「相続」に含まれません(Q22)。
計算方法と税率(評価額×3%)
不動産取得税 = 不動産の価格(課税標準額)× 税率
税率:土地3%・住宅3%・住宅以外の家屋4%(2027年3月31日までの取得)
ポイントは次の3つです。
- 「価格」は買った値段ではない:総務大臣が定めた固定資産評価基準で決めた価格で、原則として固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)です。購入価格や建築工事費ではありません(地方税法第73条の21)。評価額の決まり方は固定資産税の計算方法の記事で解説しています。
- 宅地は価格が2分の1:宅地(と宅地に比べて評価された土地)は、2027年(令和9年)3月31日までの取得なら、価格に1/2をかけた額が課税標準になります(地方税法附則第11条の5)。
- 税率は本来4%、住宅と土地は特例で3%:2008年4月1日から2027年3月31日までの取得は、土地と住宅が3%、住宅以外の家屋(店舗・事務所など)が4%です(地方税法第73条の15、附則第11条の2)。
新築の家は、まだ年数がたっていない分の減り方が反映されない「取得したときの価格」で課税されます。そのため東京都主税局は、多くの場合不動産取得税の基礎となる価格は、固定資産税の基礎となる価格より高くなると説明しています。
免税点(2026年4月から引き上げ)
課税標準となる額が次の金額に満たないときは、不動産取得税はかかりません(地方税法第73条の15の2)。2026年度の改正で、2026年4月1日以降の取得から大きく引き上げられました。
| 区分 | 2026年3月31日以前の取得 | 2026年4月1日以降の取得 |
|---|---|---|
| 土地 | 10万円 | 16万円 |
| 家屋(新築・増築・改築) | 23万円 | 66万円 |
| 家屋(売買・贈与など) | 12万円 | 34万円 |
東京都主税局のQ&A(Q7)によると、ここでいう「課税標準となるべき額」は、価格から軽減(控除)を差し引いたあとの、税率をかける額です。つまり、下で説明する1,200万円などの控除を引いた残りが免税点未満なら、税金はかかりません。なお、1年以内に隣の土地や、母屋に付く物置などをあわせて取得した場合は、合わせて一つとして判定します。同じ金額は北海道の案内でも示されています。
軽減措置①新築住宅(1,200万円の控除)
新築の住宅(家を建てた・新築マンションや建売住宅を買った)は、住宅の価格から1,200万円が控除されます(地方税法第73条の14第1項)。認定長期優良住宅は1,300万円です。価格が1,200万円未満なら、その額までの控除です。
| 床面積の条件 | 2026年3月31日以前の取得 | 2026年4月1日以降の取得 |
|---|---|---|
| 自分で住む・貸家以外 | 50㎡以上240㎡以下 | 40㎡以上240㎡以下 |
| 貸家(マンション・アパートなど一戸建以外) | 40㎡以上240㎡以下 | 40㎡以上240㎡以下 |
| 貸家(一戸建) | 50㎡以上240㎡以下 | 40㎡以上240㎡以下 |
東京都主税局によると、23区内の「特定都市再生緊急整備地域」では、2026年4月以降も下限は改正前の表のとおりです。床面積は登記の面積ではなく現況の床面積で判定し、マンションは共用部分を専有部分の割合で分けた面積も含めます。マンションなどは、独立した区画(1戸)ごとに控除されます。
新築の場合、税額の式は(住宅の価格 − 1,200万円)× 3%です。新築マンション1戸の家屋の評価額が1,200万円以下なら、家屋の分は0円になります。
軽減措置②中古住宅(築年で控除が変わる)
中古住宅は、次の3つの条件をすべて満たすと、その住宅が新築された日に応じた額が価格から控除されます(地方税法第73条の14第3項)。
- 居住:個人が自分で住むために取得した住宅
- 床面積:50㎡以上240㎡以下(2026年4月1日以降の取得は40㎡以上240㎡以下)
- 耐震基準:1982年(昭和57年)1月1日以降に新築されたもの。それより前の住宅は、取得日前2年以内の調査で新耐震基準に適合すると証明されたもの(耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵保険の契約を証する書類のいずれか)
| 住宅が新築された日 | 控除額 |
|---|---|
| 1997年(平成9年)4月1日以降 | 1,200万円 |
| 1989年(平成元年)4月1日〜1997年3月31日 | 1,000万円 |
| 1985年(昭和60年)7月1日〜1989年3月31日 | 450万円 |
| 1981年(昭和56年)7月1日〜1985年6月30日 | 420万円 |
| 1976年(昭和51年)1月1日〜1981年6月30日 | 350万円 |
| 1973年(昭和48年)1月1日〜1975年12月31日 | 230万円 |
| 1964年(昭和39年)1月1日〜1972年12月31日 | 150万円 |
| 1954年(昭和29年)7月1日〜1963年12月31日 | 100万円 |
東京都主税局のQ&A(Q13)より。1981年12月31日以前の新築は、上の耐震の証明がなければ控除されません。1954年6月30日以前の新築は控除の対象外です。新築された年は、固定資産課税台帳(固定資産評価証明書)の建築年で判定するため、登記の建築年と違うことがあります。
耐震基準を満たさない中古住宅でも、取得後6か月以内に自分で耐震改修をして証明を受け、住み始めた場合は、税額から築年に応じた額(3万円〜12万6千円)を減らす制度があります(2014年4月1日以降の取得。地方税法第73条の27の2)。取得前に工事が終わっている場合は使えません。
軽減措置③住宅用の土地の減額
上の新築・中古の軽減の条件を満たす住宅の土地(マンションなら敷地の持ち分)は、土地の税額から次のどちらか高い方の額が減額されます(地方税法第73条の24)。
減額 = 次のうち高い方
ア:4万5,000円
イ:土地1㎡あたりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸あたり200㎡まで)× 取得した持ち分 × 3%
「土地1㎡あたりの価格」は、宅地なら評価額に1/2をかけたあとの価格を地積で割った額です。土地と住宅を取得する順番や期間にも条件があります。
- 新築住宅の土地:土地を取得してから3年以内に住宅を新築/新築後1年以内の未使用住宅と土地を同じ人が取得 など
- 中古住宅の土地:土地と中古住宅を同時に取得、またはどちらかを取得してから1年以内にもう一方を取得
マンションの敷地は1戸あたりの持ち分が小さく、イの計算で出る減額のほうが土地の税額より大きくなりやすいため、条件を満たせば土地の分は0円になることが多いと考えられます(下の計算例を参照)。
いくら?計算例(中古マンション・新築の建売住宅)
例1:中古マンション(東京都主税局Q&A Q17の設例)
1983年(昭和58年)3月新築の中古マンション1戸(床面積90㎡)を買い、すぐに住み始めた例です。家屋の評価額600万円、敷地は宅地500㎡・評価額5,000万円で、敷地の持ち分は1/10です(2025年5月の取得の設例)。
| 内訳 | 計算 | 税額 |
|---|---|---|
| 家屋 | (600万円 − 控除420万円)× 3% | 5万4,000円 |
| 土地(減額前) | 5,000万円 × 1/2 × 持ち分1/10 × 3% | 7万5,000円 |
| 土地の減額 | 1㎡あたり5万円 × 180㎡(90㎡×2)× 3% = 27万円 | −7万5,000円まで |
| 合計 | 5万4,000円 |
ここからは当サイトの当てはめです。同じマンションが仮に1980年新築で、耐震の証明がないとすると、家屋の控除も土地の減額も使えないため、家屋18万円(600万円×3%)+土地7万5,000円=25万5,000円となり、約4.7倍になります。古い中古住宅を買うときは、引き渡し前に耐震基準適合証明書などを用意できるかを売主・不動産会社に確かめておくと、税額の見通しが立てやすくなります。
例2:土地つきの新築建売住宅(東京都主税局Q&A Q15の設例)
土地(宅地)125㎡・評価額7,200万円と、床面積150㎡・評価額1,260万円の新築住宅を同時に買った例です(2025年5月の取得の設例)。
- 家屋:(1,260万円 − 1,200万円)= 60万円 × 3% = 1万8,000円
- 土地:7,200万円 × 1/2 × 3% = 108万円。減額は1㎡あたり28万8,000円 × 200㎡(150㎡×2=300㎡だが上限200㎡)× 3% = 172万8,000円で、土地の税額は0円
当サイトの当てはめでは、この設例の取得日が2026年4月1日以降だった場合、家屋の課税標準60万円は新しい免税点(新築の家屋66万円)に満たないため、家屋の分もかからない計算になります。実際の扱いは、取得した不動産のある都道府県(東京都は都税事務所)でご確認ください。
いつ払う?申告期限と納付の流れ
- 取得から30日以内に申告(東京都の場合):土地・家屋のある都税事務所(都税支所)・支庁へ申告します。ただし、取得から30日以内に登記を申請した場合は、原則として申告は不要です(東京都都税条例第45条)。未登記の物件も申告が必要です。申告の期限は都道府県の条例で決まるため、東京以外は各道府県の案内を確認してください。
- 「お知らせ」のはがき:東京都では、税額と納期限を事前に知らせるはがきが届くことがあります。このはがきでは納付できず、翌月上旬に送られる納税通知書で納めます(Q&A Q25)。
- 納税通知書で納付:東京都の納税通知書は毎月7日前後に発送され、納期限は原則として発送した月の月末です。スマートフォン決済アプリ・クレジットカード(手数料あり)・ペイジー・窓口・コンビニ(1枚30万円まで)で納められますが、口座振替は使えません。
通知がいつ届くかの目安として、北海道の案内では、土地と中古の家屋は所有権移転登記からおおむね3か月後、新築の木造住宅は市町村の固定資産課税台帳への登録後(完成した翌年の4月以降)とされています。届く時期は都道府県や物件で違うため、引き渡し後しばらくしてから数万〜数十万円の支払いがあると資金計画に入れておくと安心です。
家を買うときのお金は、住宅ローン控除で戻る税金とあわせて考えると全体がつかみやすくなります。控除の計算は住宅ローン控除2026の記事で解説しています。頭金や諸費用の準備を、非課税の口座でどう置いておくかは、姉妹サイトの新NISAの基本(金融研究所)も参考になります。
軽減措置の申告と必要書類
東京都主税局Q&A(Q4)によると、登記をして申告が不要な場合でも、軽減を受けるときは、不動産取得税申告書に必要書類を添えて都税事務所などへ申告します。必要な書類はケース(新築/建売・新築マンション/中古)ごとに、東京都主税局の「軽減制度を受けるための要件と手続の流れ(フロー図)」にまとめられています。中古住宅で1981年以前に新築されたものは、耐震基準適合証明書などの書類が必要です。
東京都では、2026年1月5日から、申告・申請のときの土地・建物の登記事項証明書の添付を省略できるようになり、2025年12月22日からは原本を求めていた書類の一部を写しで出せるようになっています。相続で非課税になる場合も、東京都では原則として「不動産取得税非課税申告書」の提出が必要です(Q21)。
まとめ
- 不動産取得税は、売買・新築・贈与で不動産を取得したときに一度かかる都道府県の税金。相続では非課税。
- 計算は「固定資産税評価額 × 税率」。2027年3月31日までの取得は土地・住宅3%、宅地は価格が1/2。
- 新築住宅は1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)、中古住宅は新築年に応じて100万〜1,200万円を控除。条件を満たす住宅の土地は「4万5,000円か、1㎡の価格×床面積の2倍×3%」の高い方を減額。
- 2026年4月1日以降の取得から、免税点が引き上げられ(新築の家屋66万円・売買などの家屋34万円・土地16万円)、床面積の下限が40㎡に。
- 東京都では取得から30日以内に申告(30日以内に登記を申請すれば原則不要)。軽減を受けるには申告が必要。通知書は引き渡しから数か月後に届くことが多い。
出典・注意書き
基準日:2026年11月3日時点(いずれも確認日時点の公式ページ。条文番号は東京都主税局の案内・Q&Aに示された根拠条文)
- 東京都主税局「不動産取得税」(計算方法・税率・宅地の1/2特例・免税点・申告・納付・軽減制度の主なケース):https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/fudosan
- 東京都主税局「不動産取得税Q&A」(Q1〜Q25:課税の範囲・税率・免税点・新築と中古の控除・住宅用土地の減額・計算の設例・非課税・お知らせはがき):https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/real_estate/f
- 北海道「不動産取得税」(免税点・税率・課税の時期の目安):https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/zim/tax/fudou01.html
- e-Gov法令検索「地方税法」(第73条の2・第73条の14・第73条の15・第73条の15の2・第73条の21・第73条の24・附則第11条の2・第11条の5 ほか):https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
計算例の例1・例2の数字は東京都主税局Q&Aの設例です。「耐震の証明がない場合」「2026年4月1日以降の取得だった場合」は、同じ資料の税率・控除・免税点を当てはめた当サイトの計算で、実際の税額を示すものではありません。
ご注意
- 不動産取得税は都道府県の税金で、申告の期限・手続き・独自の減免は都道府県の条例で異なることがあります。この記事は主に東京都の案内をもとにしています。
- 実際の税額は、固定資産税評価額・床面積・取得の時期や順番で変わります。適用の可否は、不動産のある都道府県の税事務所(東京都は都税事務所)や税理士などの専門家にご確認ください。
- 税率・特例・控除の期限や要件は、法改正で変わることがあります。特定の物件や売買をおすすめするものではありません。

