固定資産税は、土地や建物を持っていると毎年かかる市町村の税金です(東京23区では東京都が課税します)。納税通知書の金額は、「課税標準額 × 税率」というシンプルな式で決まっていますが、課税標準額を出すまでに、評価額・住宅用地の特例・新築住宅の減額といった仕組みが重なります。

この記事では、よく出る疑問を13のQ&Aに分けて、地方税法の条文と、総務省・自治体の公式ページで確かめた内容を整理しました。後半では、仮の評価額を置いて、新築マンションの税額が6年目にどう変わるか、戸建ての広い土地ではどうなるかを当サイトで試算しています。

Q1 固定資産税の計算方法は?(税額=課税標準額×1.4%)

固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%まで(制限税率)

固定資産税の標準税率は1.4%です(地方税法第350条)。「標準」なので、条例でこれと違う税率を定めている市町村もあります。市街化区域の土地・建物などには都市計画税もかかることがあり、こちらは0.3%が上限です(第702条の4)。納税通知書では、二つがまとめて請求されることが多くなっています。

固定資産税は住民税と同じく市町村の税金です。住民税の計算の仕組みは、姉妹サイトのふるさと納税の上限の出し方(金融研究所)で、総務省の計算式をもとに解説しています。

Q2 いつ・誰が払う?(賦課期日は1月1日・支払いは年4回)

A. その年の1月1日に、登記簿などに所有者として載っている人です。地方税法では、固定資産税は固定資産の所有者に課され(第343条)、課税の基準の日(賦課期日)は1月1日と決まっています(第359条)。

そのため、年の途中で家を売っても、その年度の納税通知書は売った人に届きます。売買のときに引き渡し日で日割りにして精算する取り決めをすることが多いのですが、これは法律の決まりではなく、売り手と買い手の契約上の扱いです。売却の手順全体はマンション売却の流れの記事で解説しています。

納める時期は、原則として年4回に分けて納めます。具体的な納期は市町村の条例で決まるため、通知書で確認してください。

Q3 土地の評価額はどう決まる?(公示価格の7割が目安)

A. 国が決めた固定資産評価基準に沿って、市町村(23区は東京都)が決めます。総務省の資料によると、住宅などの宅地は、地価公示価格の7割程度を目安に評価する仕組みです。買ったときの値段とは別のもので、売買の価格より低めになることが多いと考えられます。

地価公示の価格そのものは、東京23区の地価ランキングで区ごとの平均を紹介しています。

Q4 建物(家)の評価額はどう決まる?

A. 「同じ建物を今その場所に建て直すといくらかかるか」(再建築価格)をもとに、年数がたった分の減り方(経年減点補正)を反映させて決めます。建材や設備の種類から積み上げて計算するため、同じ値段で買った家でも評価額は違うことがあります。

Q5 評価額は毎年変わる?(評価替えは3年に一度)

A. 土地と建物は、原則として3年に一度まとめて見直します(評価替え)。

年度評価額
2024年度(令和6年度)評価替え(基準年度)
2025年度・2026年度原則すえ置き
2027年度(令和9年度)次の評価替え

地価が大きく上がっても税額が急に上がりすぎないよう、課税標準額を少しずつ評価額に近づける負担調整措置もあります。評価替えの年は、通知書の評価額が前年と変わっていないか見比べておくとよいでしょう。

Q6 住宅の土地の優遇措置は?(住宅用地の特例・空き家の注意)

A. 住宅用地の特例で、課税標準額が評価額の6分の1または3分の1になります。

区分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡までの部分)評価額の1/6評価額の1/3
一般住宅用地(200㎡を超える部分)評価額の1/3評価額の2/3

根拠は地方税法第349条の3の2(固定資産税)と第702条の3(都市計画税)です。マンションは敷地を戸数で分け合うため、多くの場合、敷地全体が「1戸あたり200㎡まで」の扱いになります。また総務省の資料によると、住宅用地として扱われるのは建物の床面積の10倍までです。

注意したいのは空き家です。空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて、管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けた家の敷地は、この特例の対象から外れます(第349条の3の2第1項)。

Q7 新築住宅の軽減はいつまで・何年?

A. 新築住宅は、床面積120㎡分までの固定資産税が2分の1になります。都市計画税は対象外です。

項目内容
減る額居住部分の床面積120㎡分までの固定資産税額の1/2
期間(一般の住宅)3年度分。3階建て以上の耐火・準耐火の住宅(多くのマンション)は5年度分
期間(認定長期優良住宅)5年度分。3階建て以上の耐火・準耐火は7年度分(申告が必要)
対象2031年(令和13年)3月31日までに新築された住宅
床面積の条件2026年3月31日以前の新築:50㎡(一戸建て以外の貸家は40㎡)以上280㎡以下
2026年4月1日以降の新築:40㎡以上240㎡以下

認定長期優良住宅の減額は申告が必要で、東京23区では、新築した年の翌年の1月31日までに、住宅のある区の都税事務所へ申告します(東京都主税局)。23区の外は、各市町村の案内を確認してください。床面積の条件は自治体の案内(千葉市など)で確認したもので、細かな判定(マンションの共用部分の按分など)は市町村によって説明が異なることがあります。

Q8 新築マンションの固定資産税はいくら?6年目に上がる?(試算)

ここからは当サイトの試算です。次の前提で計算しました。

  • 物件:専有70㎡の新築マンション(3階建て以上の耐火=新築の減額は5年度分)。
  • 評価額(仮):敷地の持ち分の土地1,500万円・建物1,000万円。
  • 税率:固定資産税1.4%・都市計画税0.3%。
  • 単純化:課税標準額=評価額×特例の割合とし、負担調整措置は考えない。評価額は5年間変わらないと仮定。
内訳1〜5年度6年度目
土地の固定資産税(1,500万円×1/6×1.4%)3万5,000円3万5,000円
土地の都市計画税(1,500万円×1/3×0.3%)1万5,000円1万5,000円
建物の固定資産税(1,000万円×1.4%=14万円)7万円(減額で1/2)14万円
建物の都市計画税(1,000万円×0.3%)3万円3万円
合計15万円22万円
15万円
1〜5年度の年税額(試算)
22万円
6年度目の年税額(試算)
+7万円
減額が終わって増える額(約1.5倍)

実際には、評価替えで建物の評価額が下がる(経年減点補正)ことがあるため、増え方はもう少し小さくなることがあります。それでも、新築の減額がいつ終わるかは資金計画に入れておきたいポイントです。

Q9 住宅用地の特例がないと?

Q8の土地(評価額1,500万円)で、特例がない場合と比べました(当サイト計算)。

特例あり特例なし
固定資産税3万5,000円21万円
都市計画税1万5,000円4万5,000円
合計5万円25万5,000円(約5倍)

実際には、特例が外れた土地にも負担調整などの別の扱いが働くため、ぴったりこの金額になるとは限りません。特例の大きさをつかむための比べ方です。

Q10 広い家の減額は?(120㎡まで)

新築の減額は120㎡分までです。建物の評価額を2,000万円(本来の固定資産税28万円)として計算しました(当サイト計算)。

床面積本来の固定資産税減額後
100㎡28万円14万円(全体が1/2)
140㎡28万円16万円(120㎡分だけ1/2)

140㎡では、28万円のうち120㎡分(28万円×120/140=24万円)の半分の12万円だけが減ります。

Q11 戸建ての広い土地は?

土地250㎡・評価額3,000万円の戸建て(住宅1戸)で計算しました(当サイト計算・建物の床面積は特例の上限にかからない広さと仮定)。

部分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
200㎡まで(2,400万円分)400万円(1/6)800万円(1/3)
残り50㎡(600万円分)200万円(1/3)400万円(2/3)
税額8万4,000円(600万円×1.4%)3万6,000円(1,200万円×0.3%)

Q12 固定資産税がかからない場合は?(免税点・物置)

同じ市町村の中で同じ人が持っている分の課税標準額の合計が、次の金額に満たない場合は、固定資産税がかかりません(総務省)。

種類2026年度まで2027年度(令和9年度)から
土地30万円30万円
家屋20万円30万円
償却資産150万円180万円

物置のような小さな建物でも、ほかの建物と合計すると免税点を超えることがあります。

Q13 固定資産税がおかしいと思ったら?(課税明細書の見方)

  1. 課税明細書を見る:評価額と課税標準額の両方が書かれています。評価額に特例の割合をかけた数字と課税標準額を比べると、どの特例が当たっているか、新築の減額が入っているかが読み取れます。
  2. 縦覧などで比べる:近くの土地や建物の評価額と見比べることができます。
  3. 審査の申出:評価額(価格)に不服があるときは、固定資産評価審査委員会に文書で審査の申出ができます。期限は、原則として納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までです(地方税法第432条)。

税率や特例の当てはめ方の疑問は、まず市町村(23区は都税事務所)の窓口に聞くのが近道です。

まとめ

  • 固定資産税は、1月1日の所有者に、課税標準額×1.4%(標準税率)がかかる。都市計画税は0.3%まで。
  • 土地の評価額は地価公示価格の7割程度が目安。建物は再建築価格から経年の減り方を反映。評価替えは3年に一度で、次は2027年度。
  • 住宅用地は課税標準が1/6(200㎡まで)・1/3(超える部分)。勧告を受けた空き家の敷地は対象外。
  • 新築住宅は120㎡分まで税額1/2(一般3年度・マンションなど5年度)。2031年3月31日までの新築が対象で、2026年4月以降は床面積40〜240㎡が条件。
  • 仮の評価額の試算では、新築マンション70㎡の年税額は15万円→6年目22万円。減額がいつ終わるかを課税明細書で確かめよう。

出典・注意書き

基準日:2026年10月29日時点(条文はe-Gov法令APIで取得して確認。自治体の案内は確認日時点の公式ページ)

試算の税額は、上の資料の税率・特例の割合と、当サイトが置いた仮の評価額から計算した概算です。負担調整措置、市町村ごとの税率の違い・独自の軽減、評価替えによる評価額の変化は含めていません。

ご注意

  • この記事の試算は、仮の評価額を置いたモデルケースの目安です。実際の税額は、お手元の課税明細書と市町村(東京23区は都税事務所)の案内でご確認ください。
  • 税率・特例・減額の要件は、法改正や自治体の条例で変わることがあります。適用の可否は、市町村の窓口や税理士などの専門家にご確認ください。
  • 将来の税額や不動産の価格を予想・保証するものではありません。特定の物件や売買をおすすめするものではありません。

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