住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」。国土交通省は「住宅ローン減税」と呼びます)は、住宅ローンを組んで家を買ったり建てたりした人の所得税・住民税が、年末のローン残高に応じて減る制度です。

令和8年度(2026年度)の税制改正で、この制度は2026年1月1日〜2030年12月31日に入居した場合まで5年間延長されました(関連の税制法は2026年3月31日に成立)。あわせて、中古住宅(既存住宅)の借入限度額の引き上げや、床面積の条件の緩和などが入っています。

この記事では、2026年以降に入居する人向けに、控除額の計算方法、住宅の省エネ性能ごとの借入限度額と控除期間、子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ、床面積・所得の条件、住民税から引ける上限を、国土交通省・国税庁・総務省の資料で確認しました。最後に、当サイトで計算したモデルケースも載せています。

控除額の計算方法|年末残高×0.7%

控除額は、毎年次の式で計算します。控除率は0.7%で、控除期間のあいだ一律です(住宅の種類で変わることはありません)。

その年の控除額= 年末のローン残高(借入限度額まで)× 0.7%

  • 年末残高:その年の12月31日時点の住宅ローンの残高です。国税庁は「年末残高等」と書いており、家の取得の対価の額のほうが少ない場合はそちらを使います。
  • 借入限度額:残高がこれを超えていても、計算に使えるのは限度額までです。限度額は、住宅の省エネ性能・新築か中古か・子育て世帯等かで変わります(次の章)。
  • 引ける先:控除額は、まずその年の所得税から引き、引ききれない分は翌年度の住民税から一定の上限まで引きます。払っている税金より多くは戻りません(住民税の章で詳しく)。
年末残高 限度額まで ×0.7% 控除額 まず 所得税 その年の分 引ききれない分 住民税 翌年度・上限あり 最高9.75万円 まだ残る 使われない
控除額の流れ。年末残高(借入限度額まで)に0.7%をかけた額を、まずその年の所得税から引き、引ききれない分を翌年度の住民税から上限の範囲で引きます。所得税・住民税が少ないと、控除額の全部は使えません(国税庁・総務省の資料をもとに当サイト作成)。

借入限度額と控除期間|省エネ性能で変わる

2026〜2030年に入居した場合の借入限度額と控除期間です(国土交通省「令和8〜12年の住宅ローン減税の概要」)。かっこ内は、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ後の額です。

住宅の省エネ性能新築・買取再販既存(中古)
長期優良住宅・低炭素住宅(認定住宅)4,500万円(5,000万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(4,500万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
省エネ基準適合住宅新築:2026・2027年入居は2,000万円(3,000万円)×13年。2028年以降の入居は原則対象外(2027年末までに建築確認を受けたもの等は2,000万円×10年)。買取再販:2,000万円(3,000万円)×13年2,000万円(3,000万円)×13年
その他の住宅(省エネ基準に適合しない)新築:原則対象外。買取再販:2,000万円×10年2,000万円×10年

「買取再販住宅」は、不動産会社が中古住宅を買い取って一定のリフォームをしてから売る住宅です。表のとおり、同じ新築でも省エネ性能によって限度額に2倍以上の差があり、省エネ基準に適合しない新築は原則として対象外です。国土交通省のQ&Aによると、その他の住宅の新築でも、2023年末までに建築確認を受けたもの、または2024年6月30日以前に建築されたものは、2,000万円×10年で対象になります。

1年あたりの控除額の上限

限度額×0.7%が、1年に受けられる控除額の上限です(国税庁 No.1211-1 の控除限度額と同じ)。

借入限度額1年の控除額の上限あてはまる例
5,000万円35万円認定住宅の新築(子育て世帯等)
4,500万円31.5万円認定住宅の新築、ZEH水準(子育て世帯等)など
3,500万円24.5万円ZEH水準、既存の認定住宅
3,000万円21万円省エネ基準適合(子育て世帯等)
2,000万円14万円省エネ基準適合、その他の既存住宅

住宅がどの省エネ性能にあたるかは、建築会社・売主から受け取る証明書(住宅省エネルギー性能証明書や、長期優良住宅の認定通知書など)で確かめます。証明書がないと、その他の住宅として扱われることがあるため、契約の前に「どの区分の証明書が出るか」を聞いておくのが安全です。

子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ

表のかっこ内の上乗せを受けられるのは、国税庁が「特例対象個人」と呼ぶ次のどれかにあたる人です。判定は、入居した年の12月31日時点の状況で行います。

  • 年齢40歳未満で、配偶者がいる人
  • 年齢40歳以上で、40歳未満の配偶者がいる人
  • 19歳未満の扶養親族がいる人

2026年以降の入居では、上乗せが既存住宅(中古)にも広がりました。一方で、上乗せを使う場合は床面積が50㎡以上必要です。国土交通省のQ&Aでは、40㎡台の住宅を買った子育て世帯は上乗せの対象にならず、住宅の性能に応じた通常の限度額になると説明しています。

床面積・所得などの条件

主な条件をまとめました(国土交通省・国税庁)。細かい条件はほかにもあるため、最後は税務署で確かめてください。

条件中身
入居の時期2026年1月1日〜2030年12月31日に入居。新築・取得の日から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
床面積登記簿上で40㎡以上(2026年以降は既存住宅も40㎡から)。ただし、合計所得金額が1,000万円を超える人と、子育て世帯等の上乗せを使う人は50㎡以上。床面積の2分の1以上が自分の住まい用であること
所得合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下)。ペアローン・連帯債務では、1人ずつ判断
ローン返済期間10年以上の分割返済の借入れ
築年数(中古)1981年12月31日以前に建てられた住宅は、耐震基準を満たすことを証明する書類が必要
立地(2028年以降の入居)土砂災害特別警戒区域などの「災害レッドゾーン」にある新築住宅は対象外(建替え・既存住宅・リフォームは対象)
その他親族など特別な関係の人からの取得や贈与による取得でないこと。入居の年とその前2年・後3年に、居住用財産の3,000万円特別控除などの特例を受けていないこと

マンションの床面積は「内法」で見る

国土交通省のQ&Aによると、床面積は登記事項証明書の面積で判断し、マンションは専有部分の内法面積です。販売図面の面積は、壁の中心から測った「壁芯面積」で書かれていることがあり、その場合は内法面積より少し大きくなります。広告で50㎡ちょうどくらいの部屋は、登記上は50㎡を下回ることがあるため、上乗せを使いたい人は登記上の面積を確かめてください。

所得税で引ききれない分は住民税から

総務省の事務連絡(2026年1月21日)によると、2026〜2030年に入居した人で、控除額が所得税額より多い場合は、その残りを翌年度の個人住民税から引きます。ただし上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までです。

  • 上限は「所得税額+住民税(最高9.75万円)」なので、所得税が少ない人ほど、控除額をすべて使いきれないことがあります。
  • 所得税額は、給与所得控除や基礎控除、扶養控除などを引いたあとの額です。源泉徴収票の「源泉徴収税額」や、確定申告書の所得税額が目安になります。
  • 住宅ローン控除で所得税や住民税が減ると、ふるさと納税の上限額も変わります。上限の出し方は、金融研究所のふるさと納税の上限の出し方で解説しています。

いくら戻る?モデルケースで試算

次の前提で、当サイトが計算しました。金利は説明のための仮の数字で、特定の金融機関の金利ではありません。

  • 2026年に新築マンションに入居。借入額4,000万円・35年・金利年0.8%(最後まで変わらないと仮定)・元利均等返済・ボーナス返済なし。毎月の返済は約10万9,200円。
  • 家の価格は借入額より高い(年末残高をそのまま使う)。毎年、所得税と住民税は控除額を引ききれるだけあると仮定。
年年末残高ZEH水準・子育て世帯等(限度4,500万円)ZEH水準(限度3,500万円)省エネ基準・子育て世帯等(限度3,000万円)省エネ基準(限度2,000万円)
1年目約3,901万円約27.3万円24.5万円21万円14万円
5年目約3,495万円約24.5万円約24.5万円21万円14万円
10年目約2,969万円約20.8万円約20.8万円約20.8万円14万円
13年目約2,643万円約18.5万円約18.5万円約18.5万円14万円
13年の合計—約298.6万円約291.6万円約267.6万円約182.0万円

残高は毎年減っていくので、控除額も少しずつ減ります。この例では、ZEH水準の上乗せ(4,500万円)と通常(3,500万円)の差は13年で約7万円でした。借入額が限度額より少ないと、限度額が大きくても控除は増えないためです。一方、省エネ基準適合住宅(限度2,000万円)とZEH水準では、13年で100万円以上の差が出ました。

税金が少ないと、全部は戻らない

同じ例で、仮に1年目の所得税が10万円、課税総所得金額等が250万円だったとします(当サイトの仮置き)。

27.3万円
計算上の控除額(ZEH水準・子育て世帯等の1年目)
19.75万円
実際に引ける額(所得税10万円+住民税9.75万円)
約7.6万円
使われない分

住民税の上限は250万円×5%=12.5万円ですが、最高9.75万円で頭打ちです。「年末残高×0.7%」がそのまま戻るとは限らないので、自分の源泉徴収票の所得税額で上限を確かめておくと、資金計画がずれにくくなります。

手続き|1年目は確定申告、2年目から年末調整

  1. 1年目は確定申告:入居した翌年の確定申告で手続きします。国土交通省のQ&Aの例では、2026年10月に入居した場合、2027年2月16日〜3月15日に税務署などで確定申告をします。
  2. 必要書類:ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、請負契約書・売買契約書など(詳しくは税務署へ)。省エネ性能の上乗せを受けるなら、その性能の証明書も出します。
  3. 2年目からは年末調整:会社員など年末調整を受ける人は、2年目以降は確定申告がいりません(勤務先の年末調整で手続きします。出す書類は勤務先・税務署の案内で確認)。

借り換えをした場合の扱い(控除期間は延びない、対象の残高が按分で減ることがある、など)は、住宅ローンの借り換えの損益分岐の記事で触れています。

買う前に確かめたいこと

  • 住宅の省エネ区分と証明書:限度額がいちばん大きく変わるところです。新築の省エネ基準適合住宅は2028年以降の入居で原則対象外になるため、引き渡しの時期も確認します。
  • 登記上の床面積:40㎡・50㎡の線をまたぐかどうか。マンションは内法面積で判断されます。
  • 自分の税額:控除額の上限は「所得税額+住民税(最高9.75万円)」。共働きならペアローンで2人それぞれが控除を受ける方法もありますが、2人とも返済の責任を負うことになります。
  • 控除のためにローンを増やさない:控除は残高の0.7%です。ローンの金利が0.7%を超えると、払う利息のほうが多くなります。金利タイプの選び方は変動金利と固定金利の記事へ。
  • 家を持つと毎年かかる税金:控除で減るのは所得税・住民税で、固定資産税は別です。新築住宅の固定資産税の減額は固定資産税の計算方法の記事で解説しています。

まとめ

  • 住宅ローン控除は2030年12月31日入居分まで5年延長。控除額は「年末残高(借入限度額まで)×0.7%」。
  • 借入限度額は省エネ性能で変わる。新築は認定住宅4,500万円、ZEH水準3,500万円、省エネ基準適合2,000万円(2027年入居まで)、その他の住宅は原則対象外。既存住宅は3,500万円〜2,000万円。
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯は上乗せあり(新築認定住宅で5,000万円など)。2026年からは既存住宅も対象。ただし床面積50㎡以上が必要。
  • 床面積は40㎡以上(所得1,000万円超や上乗せ利用は50㎡以上)。所得は2,000万円以下。
  • 所得税で引ききれない分は翌年度の住民税から。上限は課税総所得金額等の5%・最高9.75万円で、税金が少ないと全部は戻らない。
  • 4,000万円・35年・0.8%の例(当サイト試算)では、13年の控除の合計はZEH水準・子育て世帯等で約299万円、省エネ基準適合で約182万円。

出典・注意書き

基準日:2026年11月時点(制度は令和8年度税制改正後の内容。国土交通省Q&Aは2026年7月更新版、国税庁タックスアンサーは2026年4月1日現在法令等)

モデルケースの返済額・年末残高・控除額は、元利均等返済(ボーナス返済なし)で当サイトが計算した概算です。金利・所得税額・課税総所得金額等は説明のための仮の数字です。

ご注意

  • この記事は制度の一般的な解説です。あなたの控除額や、控除を受けられるかどうかの判断は、税務署や税理士などの専門家にご確認ください。
  • 制度の内容は基準日時点のものです。税制改正で変わることがあるため、国土交通省・国税庁の最新の資料もあわせてご確認ください。
  • 試算は前提を置いたモデルケースの目安で、将来の金利や控除額を保証するものではありません。変動金利は借りたあとに金利が上がり、返済額が増えるリスクがあります。
  • 特定の住宅・金融機関・ローン商品をおすすめするものではありません。

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