タワーマンションが並ぶ東京の湾岸エリア。「もう高すぎるのでは」「今から買っても大丈夫?」という声をよく耳にします。この記事では、2026年の公示地価と2025年の国勢調査という国の公開データだけを使って、湾岸エリアの土地の値段と人の動きを整理します。
先に結論を言うと、湾岸の地点はこの10年で大きく上がり、上昇はこの1年も続いています。ただし、2008年から2010年にかけて約18%下がった地点もあります。「これから上がるかどうか」は誰にも言い切れません。判断の材料として読んでください。
この記事の「湾岸エリア」
「湾岸エリア」に決まった範囲はありません。この記事では、東京湾に面した次の3つの区の、海側の町にある公示地価の住宅地の地点を取り上げます。
- 中央区:月島・勝どき・晴海
- 江東区:豊洲・辰巳
- 港区:芝浦・港南
有明や東雲には、2026年の公示地価の住宅地の地点がないため、この記事の一覧には入っていません。地点の場所は、町名(丁目)と最寄り駅までにとどめています。
2026年の地価:地点ごとの一覧
2026年1月1日時点の、1㎡あたりの価格と前年からの変動率です。比べるために、同じ江東区の内陸側の地点(北砂五丁目)も1つ載せました。
| 地点(区・町) | 最寄り駅・距離 | 2026年の価格(円/㎡) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 港区 芝浦二丁目 | 田町駅 760m | 2,740,000 | 20.2% |
| 港区 港南三丁目 | 品川駅 1,100m | 2,260,000 | 22.2% |
| 中央区 月島三丁目 | 勝どき駅 500m | 1,970,000 | 14.5% |
| 中央区 勝どき三丁目 | 勝どき駅 200m | 1,950,000 | 14.0% |
| 中央区 月島二丁目 | 月島駅 300m | 1,430,000 | 12.6% |
| 中央区 晴海五丁目 | 勝どき駅 900m | 1,520,000 | 10.9% |
| 江東区 豊洲四丁目 | 豊洲駅 550m | 1,160,000 | 16.0% |
| 江東区 辰巳一丁目 | 辰巳駅 750m | 694,000 | 13.6% |
| (参考)江東区 北砂五丁目 | 大島駅 1,200m | 497,000 | 10.2% |
港区の2地点は、1年で20%を超えて上がりました。港南三丁目の22.2%は、港区の住宅地の地点の中で最も高い上昇率です。同じ「湾岸」でも、価格の水準は辰巳一丁目の69万円台から芝浦二丁目の274万円まで、約4倍の開きがあります。
23区全体の住宅地の平均価格(856,400円/㎡)と比べると、豊洲四丁目(1,160,000円)は3割以上高く、辰巳一丁目(694,000円)は平均を下回ります。芝浦二丁目(2,740,000円)は、港区の住宅地の平均(3,013,700円)に近い水準です。
10年でどれだけ上がったか
同じ地点の2016年と2026年の価格を比べました(10年間、地点の場所が変わっていないものだけ)。
| 地点 | 2016年 | 2026年 | 10年の変化 |
|---|---|---|---|
| 港区 港南三丁目 | 863,000 | 2,260,000 | 約2.6倍 |
| 港区 芝浦二丁目 | 1,110,000 | 2,740,000 | 約2.5倍 |
| 江東区 豊洲四丁目 | 556,000 | 1,160,000 | 約2.1倍 |
| 江東区 辰巳一丁目 | 383,000 | 694,000 | 約81%上昇 |
| 中央区 月島三丁目 | 1,130,000 | 1,970,000 | 約74%上昇 |
| 中央区 勝どき三丁目 | 1,140,000 | 1,950,000 | 約71%上昇 |
| 中央区 月島二丁目 | 828,000 | 1,430,000 | 約73%上昇 |
| (参考)江東区 北砂五丁目 | 321,000 | 497,000 | 約55%上昇 |
倍率・上昇率は公表価格から当サイトが計算しました。湾岸の地点は、比べた内陸の地点(約55%)より大きく上がっています。晴海五丁目の地点は2017年に新しく加わったため10年比較から外しましたが、2021年の1,050,000円から2026年の1,520,000円へ、5年で約45%上がっています。
区の単位で見た上昇率の推移
区全体の住宅地の変動率(同じ地点どうしの平均)を、2021年から並べました。
| 年(1月1日時点) | 中央区 | 江東区 | 港区 | 23区全体 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | ▲0.8% | ▲0.5% | 0.3% | ▲0.5% |
| 2022年 | 2.9% | 2.1% | 2.4% | 1.5% |
| 2023年 | 4.0% | 4.1% | 3.6% | 3.4% |
| 2024年 | 7.5% | 5.6% | 7.2% | 5.4% |
| 2025年 | 13.9% | 8.7% | 12.7% | 7.9% |
| 2026年 | 13.8% | 11.9% | 16.6% | 9.0% |
3つの区とも、2022年以降は毎年23区全体を上回っています。2026年は港区が16.6%で23区のトップ、中央区は前年とほぼ同じ13.8%、江東区は11.9%へ上昇幅が広がりました。区の数字には内陸の地点も含まれる点に注意してください。23区すべての順位は東京23区の地価ランキング2026にまとめています。
人口はどう動いたか(国勢調査)
2025年10月1日に行われた国勢調査で、2020年からの5年間の人口の動きを見ます。
| 区 | 2020年 | 2025年 | 5年間の増加 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 中央区 | 169,179人 | 181,841人 | 12,662人 | 7.5% |
| 江東区 | 524,310人 | 553,502人 | 29,192人 | 5.6% |
| 港区 | 260,486人 | 272,478人 | 11,992人 | 4.6% |
| 23区全体 | 9,733,276人 | 9,944,109人 | 210,833人 | 2.2% |
江東区の増加数29,192人は23区で最も多く、中央区の増加率7.5%は台東区(7.9%)に次ぐ23区で2番目です。3つの区とも、23区全体(2.2%)を上回るペースで人口が増えました。2020年の人口は、2025年の区の範囲に合わせて組み替えた値です。2025年の人口は、各区の2020年の人口に5年間の増加数を足したものです。
なお、この統計からは「なぜ増えたか」まではわかりません。大規模なマンションの完成など、さまざまな要因が考えられますが、決めつけずに見ておきましょう。晴海では、東京2020大会の選手村の跡地を住宅などに整備する再開発(晴海五丁目西地区)が東京都の事業として進められてきました。
下がった時期もある
今は上がり続けている湾岸の地価ですが、過去には下がった時期があります。勝どき三丁目の地点の価格を年ごとに見ると、次のとおりです。
| 年 | 勝どき三丁目の地点(円/㎡) |
|---|---|
| 2006年 | 720,000 |
| 2008年 | 1,020,000 |
| 2010年 | 835,000 |
| 2013年 | 860,000 |
| 2016年 | 1,140,000 |
| 2021年 | 1,310,000 |
| 2026年 | 1,950,000 |
2008年の1,020,000円から、2010年には835,000円へ約18%下がりました(当サイト計算)。2008年の水準を上回ったのは2015年(1,030,000円)で、戻るまでに7年かかっています。また2021年は、前年の1,320,000円からわずかに下がりました。
「湾岸の地価は上がるもの」と思い込まず、下がる年もあることを前提に、無理のない予算で考えることが大切です。
買う前に確かめたい4つのこと
- 実際の取引価格:公示地価は土地の値段です。マンションの価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、近くの実際の取引価格(地区・築年・広さ別)を確かめられます。
- 災害のリスク:埋立地や運河に近い場所が多い地域です。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」や区のハザードマップで、浸水・高潮・液状化などの想定を確認しましょう。
- 管理と修繕の計画:大規模なマンションは、管理費・修繕積立金の水準や、長期修繕計画の内容で、住んでからの負担が変わります。購入前に資料で確かめましょう。
- 金利が上がったときの返済:価格が高いほど借入額は大きくなり、変動金利なら金利の上昇で返済額が増えることがあります。金利が上がった場合の返済額も試算しておきましょう。
投資目的で考える場合:賃貸に出すときは、空室の期間、金利の上昇、売りたいときにすぐ売れない(売却しにくさ)といったリスクがあります。過去の値上がりが今後も続く前提での判断は避け、複数の専門家の意見を聞いて検討してください。
まとめ
- 2026年の湾岸の住宅地の地点は、前年比10.9%〜22.2%の上昇。港南三丁目の22.2%は港区の住宅地で最も高い。
- 10年で、港南・芝浦は約2.5倍前後、豊洲四丁目は約2.1倍。比べた内陸の地点(約55%)より大きく上がった。
- 江東区は5年で人口が29,192人増え、23区で最も多い。
- 一方、勝どき三丁目の地点は2008年から2010年に約18%下がり、戻るまで7年かかった。
- 買う前に、取引価格・災害リスク・管理と修繕・金利の4つを確かめたい。
出典・注意書き
基準日:2026年10月時点(地価公示の調査基準日は2026年1月1日、国勢調査は2025年10月1日)
- 国土交通省「国土数値情報 地価公示データ(令和8年・東京都)」(地点ごとの価格・前年比・最寄り駅・過去の価格):https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L01-2026.html
- 東京都財務局「令和8年地価公示価格(東京都分)の概要」(区別の変動率):https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01_R8kouji_gaiyou
- 東京都財務局「令和7年地価公示価格(東京都分)の概要」:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01_r7gaiyou
- 東京都財務局「令和6年地価公示価格(東京都分)の概要」:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01gaiyou__23
- 東京都財務局「令和5年地価公示価格(東京都分)の概要」:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01gaiyou__7
- 東京都財務局「令和4年地価公示価格(東京都分)の概要」:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01gaiyou__6
- 東京都財務局「令和3年地価公示価格(東京都分)の概要」:https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/01gaiyou__5
- 総務省統計局「令和7年国勢調査」市区町村別の人口・5年間の人口増減(e-Stat 統計表 0004066141):https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004066141
- 東京都都市整備局「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」パンフレット:https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_bosai_sensyumura_pdf_pamphlet_harumi11
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格の確認先):https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」:https://disaportal.gsi.go.jp/
10年・5年の倍率と上昇率、2010年の下落率、2025年の人口(2020年の人口+5年間の増加数)は、上の公表値から当サイトが計算したものです。
ご注意
- 地価は基準日時点の公表値で、将来の価格や資産価値を示すものではありません。過去に上がったことは、これからも上がることを意味しません。
- 公示地価は土地の価格で、マンションの販売価格・取引価格とは異なります。
- 「湾岸エリア」の範囲は当サイトが決めたもので、地点の選び方によって見え方は変わります。
- 特定の物件の購入・売却をおすすめするものではありません。売買の判断は、不動産会社・金融機関などの最新情報もあわせてご確認ください。